牧野氏所縁の高知県の植物に触れていきます!

2023年初春にNHKからスタートする朝の連ドラ『らんまん』の主役のモデルになった日本植物学の父と称えられた高知県が誇る植物学者・牧野富太郎氏は、高知県の大自然と一緒に育ち、幼い頃から山野の植物に関心があり、独学で植物と向き合い続けました。

その中で、牧野氏は植物には様々な特性や効能があり、その中でも『野草』・『雑草』・『薬草』のように植物を特徴によって分類していました。

そこで今回は、その牧野氏の研究成果の一つである『野草』・『雑草』・『薬草』の紹介とその違い、高知県で採取することのできる植物と牧野氏と野草との関係性などにスポットを当てて触れていきたいと思います。

野草とは

野草とは、山野にごく当たり前に生えている草の事です。田んぼや畑などで育てている農産物以外の農家の意図にかかわらず勝手に農地を侵食する植物や本来持っている景観を害するように育つ人に疎まれるような植物などの間接的にも直接的にも悪い意味の影響を与える場所に生息する植物のことを指す場合が多いです。

野草と言うだけではなく、それ以外の呼び名もあり、山野草もしくは山草などとも呼ばれます。

詳しくは、日本内外の平地・原野から山岳まで延びる野外に広く生息する美しく綺麗な価値のある植物などを含むような広い意味を持つ言葉でもありますが、日本全国における近時代的な野草の栽培の歴史はおよそ100年程度と深くなく、明確な定義は存在しません。

雑草とは

雑草とは、栽培しないのに生える、色々な草の事です。

田んぼや畑などで育てている農作物ではなく農家の意図に関わらず勝手に農地で育つ植物やきれいな景観を害する場所に育つ人に好まれない植物などが直接的・間接的に悪い影響を与える場所に生息する植物のことを指す場合がほとんどです。

また、雑草は場合によっては野草と一緒の物と考えられますが、雑草と違い野草は原野に生える植物を指します。

それ以外の特徴として、雑草は生息しているその畑の栄養をたっぷり吸って成長している事例が多々あります。

そんな雑草の活用方法としては、刈り取って廃棄せずに土壌に一緒に鋤きこんで肥料にしたり、同じように刈り取った雑草で農作物を覆っておくのも虫や他の悪い雑草の進入から農作物を守る有効な手段となります。

また、一カ所に雑草が固まってたくさん生えていることで、その場所を雨などの浸食を遮り、土壌を守るような効果もあります。

雑草が成長するためには日光だけでなく、地面の中で水と栄養を取るために根を広げる必要があります。

野草と比べたら雑草はこの「日光・水・栄養」を確保する能力が弱いです。

そのため、生存競争の激しい山中では、雑草は生き延びる事が難しいこともあります。

その他、雑草の持つ主な性質として成長が早く、その分他の植物を比べ、種子を残すサイクルが早いという特徴があります。

どうしてそのような性質を持っているのかと言うと、実際に成長する雑草の環境に答えがあります。

その理由として、雑草が成長できる人の活動のある環境には、その人の活動による成長した雑草を取り除くための力が働きます。

人の活動と雑草の成長は反比例の関係にあると言っても過言ではない例ではないかと思われます。

薬草とは

薬草とは、薬用に流用できる植物のことです。

そのまま食するなり塗布するなどして使用したり、薬として活用できるように加工をしたり、治療などに必要な成分を別個に抽出したりして使用します。

薬草は野草や雑草と違い、植物の中でも草だけでなく木も含まれるため、学問的な観点で言うとより厳しく表現すると「薬用植物」と言った言葉で表現されます。

因みに、薬用植物とは、生薬、または製薬原料として使用される植物の総称であり、日本国内で栽培されているものは約50種でそれ以外は野生のものとなります。

また、日本薬局方に収載される代表的な薬用植物として、オオバコ・ゲンノショウコ・シャクヤク・ボタン・センブリ・トウキ・ショウガ・ウンシュウミカン・チョウセンニンジン・クズ・カワラヨモギなどがあります。

その中でもオオバコは、食物繊維を豊富に摂取可能で腸の調子を整える効能や便通を促す効能があり、更にオオバコの葉を煎じて作るオオバコ茶は、咳や痰・むくみなどの様々な症状を治療する効能が期待できる薬草茶として知られます。

また、オオバコの若菜も和え物や天ぷらに調理して食べられるようなとても有能でどの状態、どの部分も捨てるところのない万能植物でもあります。

その他にも例を挙げると、ゲンノショウコの漢方効能は胃や腸の健康を推進する効能があります。下痢や腹痛などの抑止剤として効く一方で、逆に便秘の時には便通剤となるような独特の面白い作用があります。

その効能を使い分ける方法として、下痢止めとして使いたい場合には煎液の温かいものを、便秘解消に促したい場合には冷ましたものを服用し使い分けると言った方法もあります。

薬草の煎じて飲む場合の手順を紹介します。

1)必要量を計量した水を土瓶やポットなどに入れ、沸騰させます。

2)土瓶やポット内の沸騰したお湯に必要量の薬草・漢方薬を入れ、火力弱~中でじっくりと時間をかけて煮詰めます。

その漢方薬によっては煎じる時間に違いはありますが、大体30~60分程度を目安にして全体量が約半分になったらできあがりです。

それを茶こし等でカスを除き、1日分としてお飲みください。

具体例として、ゲンノショウコの煎じ方・処方について紹介します。

全草1日量20gに水600~700mlを加え、時間をかけて約2/3量になるまで煎じて、それを1日3回程度に分けて服用する方法となります。

また、食あたり・下痢には2/1量にまで煎じた濃い方が効果的です。

野草・雑草・薬草の違いについて

因みに雑草や野草・薬草って具体的に何が違うのでしょうか?簡単にイメージで言うと、適当な土地に勝手に生える雑草にはなんとなくあまり役に立つイメージが持てないと思います。

それとは対照的に野草や薬草には、それらの植物が人間の健康に役立つことを知っている人にとっては便利な印象が持てるのではないでしょうか?

そのようなざっくりとした印象を皆さんも持っていらっしゃるかもしれませんが、これらは全部人間を主体に作ったカテゴリーに分けられているだけとなっています。

例え同じ植物を対象にしても、人が管理している田んぼや畑・土地・庭などに生息した食べることや見て楽しむこと以外が目的の植物でも、必要なければ抜いて廃棄してしまうものは雑草として、平野や山中で自然に育っているものは野草という分類を、人間に役立つ植物と知られており摘んで使うのであれば薬草のように人間の勝手な解釈で呼び方を変えているだけなのです。

例えば、とあるガーデニングが大好きな人が薬草などについてあまり知識がない場合は、庭の手入れをしていて自分のイメージした庭にそぐわない植物が芽をだしてきて育ってきたら、必要ない雑草が生えてきたと抜くと思います。

また、農耕地でも野菜を育てている周りで必要ない植物が育っていて野菜の育成の妨げになるのであれば、それは雑草と扱われてやはり抜かれてしまうと思います。

もしも、その人が庭に予定していなかった自然に生えてきた植物が昔から人々がお茶や薬として使われていることを知っている人なら、雑草とは決して扱わずに薬草として捉えて有効活用しようとすると思います。

そのまま摘んで役立てるか、庭に移植するなどして増やそうとするかもしれません。

決してどちらが正しいとか正しくないとかではないですが、植物に対する知識や認識の仕方の違いがそれらの差を生む要因になります。

また、野草と言われるものの価値を理解しているだけで、路傍で採取しただけの草を商品として取り扱うことができるようになります。

そして、自分が簡単に手の届くものに価値を感じとれることで、その住んでいる土地に好感が持てるようになっていきます。

そもそも『雑草』という名前では、人は徐々に顧みなくなっていきます。野草のその価値をどう認めて、どう広めていくかが重要なのだと思います。

また、栄養素が高い野草を日常の食事に取り入れることで、免疫力や代謝も上がり健康に近づいていきます。

実は今、皆さんが毎日食べている『野菜』は元々『野草』でした。

人が取り入れるのに障害となる野草のアクと毒を薄めて、食べやすく改良したのが現在の野菜です。

身近な例でいくと茄子やピーマン、レタスなどの大元は毒草でした。

レタスの原種は地中海にあり、もともとは苦く、幻覚症状が発生するような毒が含まれていました。

それを改良してアクや苦みがなく、幻覚症状が発生する毒もなくしたものが今のレタスとなります。

つまり野菜は、人間が生み出した先人たちの知恵の賜物だと言えることが分かると思います。

高知県で取れる野草について

高知県の自然の中で取れる代表的な野草と言えば、はぶ茶、きしまめ茶、どくだみ茶、桑茶など様々な種類があります。

それらを使った野草茶と言われると薬膳という印象があり、薬のように飲みにくいと思われがちですが、香りが高く比較的飲みやすい印象があります。

食事やティータイムにも普段使いでも気軽に飲めるぐらい親しみやすい野草茶と言えます。

野草茶にはそれぞれに様々な効能があり、はぶ茶は便秘によって起こる肩こりの緩和や目疲れなどに効果があります。

また、きしまめ茶には強壮、利尿、鎮咳などに効果があり、どくだみ茶には血管内の悪玉コレステロールや過酸化水素を取り除く作用があることで血液の流れをサラサラにしてくれます。

その他にも水分を腸内に集め留める効果、便秘気味で硬くなった便を柔らかくしてくれる効果、腸の神経細胞を刺激して働きを活発にする効果があります。

桑茶には糖尿病を未然に防ぐ効果や高血圧を抑える効果、血中脂質も抑える効果、便通を促す効果などがあります。

更に、多くの種類の栄養成分があり、日々忙しく生活をしているとなかなか気にできない亜鉛やカルシウムといったミネラルも含み、食物繊維も多いのが特徴です。

それ以外にも高知県では天ぷらにすると美味しい野草として、オオバコ、ドクダミ、ユキノシタ、クズのつる先などが取れます。

ここでは、簡単にそれらの野草を天ぷらに調理する手順の紹介をしたいと思います。

1)取ってきた野草をきれいに水で洗います。

2)小麦粉6割:片栗粉4割の割り合いで混ぜ、お好みの固さになるように水で溶きます。

3)油を170度程度に熱し、それぞれの野草を衣にさっとくぐらせて揚げていきます。

油で揚げていくポイントは、野草は時間をかけなくてもすぐにカラッと揚がるので焦がさないように素早く揚げていくことです。

4)揚げた野草の天ぷらをトレイなどに取り置き、油を切り、器に盛り付けてできあがりです。シンプルに塩などで素材の味を堪能できるようにいただくのがおすすめです。

その他にも取れる・食べられるわけではありませんが、高知県三原村には38四季の山野草が彩りをそえる星ヶ丘公園と言う場所があります。

何重にも連なった青色系の山々のグラデーションは、日常的に接している大自然との一体感をより高い水準で感じられる、ある意味非日常的な素晴らしい風景に触れる事ができます。

十数種以上のスイレンなどの植物が生育するきれいな池をセンターに置いた公園内にはヒメノボタンをメインとした今では見ることが難しくなった春夏秋冬を飾る数多くの野草たちがエモーショナルな空間を生み出しています。

牧野富太郎と野草との関係性について

日本が誇る植物学の父・牧野氏には「野外の雑草」という随筆があります。

その中には、「世人は雑草々々とけなしつけるけれど、なかなか馬鹿にならんもんである」と、普段目立たない植物でも役に立つ事が多々あると言う事を説明している言葉です。

そこで取り上げるのは、畑地などでよく見るスベリヒユで、葉は肉厚で茎は赤茶色、地面を這うように生え、夏の暑い時分には黄色い五弁花を咲かせます。

長野県や山形県、他に西洋でも食用とされ、茹でておひたしにすると粘りがあって少し酸っぱいが意外と美味しいと言われています。

また、万葉集にはイワイズルと言う名前でも登場しており、「引かばぬるぬる 吾にな絶えそね」と表されています。そのスベリヒユのぬるぬるとした粘り気と、片時も離れたくない男女の恋心を詠んだという、何ともお洒落な表現をした話です。

学識のある牧野氏らしく、「大いに採つて食つたらよかろう」とお薦めしています。

さらに牧野氏はオオバコやエノコログサのことも詳しく解説しています。

因みにこの文章は、1956年の牧野氏が94歳の時に書かれたものです。

それ以外にも、自然の植物を好み、およそ50年に渡り読み継がれてきた「牧野日本植物図鑑」も著され、自らを「草木の精」と表現した牧野氏は、19才で伊吹山を初調査して以来、珍しい植物の豊かさに魅せされ虜になりました。

幾度となく伊吹山の植物の生育調査と採取を行い、明治時代の終わる頃には「伊吹山植物目録」を完成させたと言われています。

それ以来、調査の度に山中にある民宿である「対山館」が宿泊所兼拠点となり、館主の高橋七蔵との付き合いの中で親交が深まり、「伊吹山ほど愉快な山、興味深い山はない」と常々話していたと言われています。

また、ヤマトグサと言えば、明治20年に牧野氏が日本人で最初に学名をつけるに至った記念となる植物です。

一見地味に見えますが雄しべが垂れ下がる姿はとてもユニークで伊吹山でも5月下旬~6月中旬に見ることができます。

そのような牧野氏には、イブキソモソモの名付けについても下記のようなエピソードがあります。

牧野氏と共に採集に出かけた同僚がその最中に見つけたとある野草の名前を質問すると、彼は「そもそもこの種は…」と一から十まで語り始め、その説明は質問した方が呆れるぐらい長々としてなかなか終わらなかったそうです。

そんなある日、伊吹山を西廻りに探索して行くコースの最中の岩場でイネ科の新種の植物を見つけ、その命名する事になりました。

その時に一緒に同行していた研究生達は、牧野氏のいつもの口癖を話に出し「先生、イブキソモソモという名前はどうでしょうか?」と冗談交じりに提案したそうです。

研究生達と牧野氏の近い間柄が伺える親しみを込めた冗談とも思える薦めでしたが、牧野氏は苦笑しながらも了承したことで、この名前に決定したと言われています。

また、牧野氏が綴った他著書である「植物一日一題」の中にも伊吹山は登場します。

「日本最大級の南天材」というタイトルで44歳の時に滋賀県の人々の主催で伊吹山に生育する植物について学習する催しが開かれた際に山麓の春照で宿した旧家的場邸の巨大な南天についての記載がされています。

それ以外にも『草木図説』の「サワアザミとマアザミ」でも、京都の大学生・遠藤善之君のお陰で伊吹山のマアザミの生本現物を手に入れ、その形態を知ることができ、彼に感謝するという内容が記載されています。

その他にも、牧野氏とその奥さんと彦根城に纏わるエピソードもあります。

牧野氏は、明治21年の26才の時に小澤壽衛(すえ)と結婚しました。

壽衛は、伊吹山の近くにある彦根藩井伊家の元藩士小澤一政の次女として生まれました。

牧野氏は結婚する以前、伊吹山での植物調査の帰りに彦根城に寄り、ここで新種のイチゴを発見し、その見た目から「オオトックリイチゴ」と命名しました。

この種は彦根城にしか自生していないと言われています。

この事を思うと壽衛との結婚は、なにか伊吹山と因縁めいたものが感じられます。

また、因縁めいたと言えば、牧野氏と対山館主・高橋七蔵との間にもこのようなエピソードがあります。

牧野氏が定宿していた対山館の主・高橋七蔵は、小さい頃から登山客と交流して育ちました。

山中で日々生活を送る彼は、当然登山道にも詳しくなり、訪れる登山客相手に案内役が務まるほどでした。

そんな中、牧野氏との出会いが山中植物への関心が深まるきっかけとなり、植物学研究に捧げる生涯を決定付けることとなりました。

その後も牧野氏との交流の中で更に植物学に深く関わるようになり、本人自ら発見した新種のギボウシと言う植物を牧野氏の推薦で「シチゾウギボシ」と名付け、学会にも貢献するようになりました。

また大正7年には、一合目に対山館を建設し、その中に薬草風呂を設置されました。

その薬草風呂は現在ありませんが、山頂では今も対山館という名前の山小屋があり営まれています。

高知県の代表的な食べれる野草・イタドリについて

高知県を代表する食物で春の野草であるイタドリは、その強い酸味が特徴の食用植物です。

山中や野原、土手にあぜ道などの日当たりの良いどんな所にも生えるタデ科の植物のイタドリは、3~4月頃には紅色の芽を出してタケノコのように真っ直ぐ伸び、気付けば人の背丈を超える程の高さまでになっていることもあるほど繁殖力が高いです。

その若葉をもみ崩し、すり傷などに塗ると痛みが取れるという効能からイタドリという名前が付きました。

育つ地域によって特有の呼び名があり、スカンポ、サシボ、ゴンパチなどとも呼ばれます。

イタドリ自体は日本のいたる所に生育していて、特に目新しい植物ではありませんが、実は食べる習慣がある地域と食べる習慣がない地域に分かれている面白い特徴があります。

私が昔お世話になった地元の人たちにイタドリについて話を聞いてみると、「小さい頃に採ってそのままかじったことはあるけど、とても酸っぱい草だよね」と言われる人が多く、もともと調理して食べるような習慣はありませんでしたが、その中には別にイタドリを採取しに来ていた知り合いに調理法を教わった人や別の人にそのような話を聞いて “おかず”として調理して食べるようになった人もいました。

また、イタドリと言えば春の再来を教えてくれる野草として有名で、特に野草採りと張り切らなくてもすぐ近くに存在するイタドリを採って、その日の晩には調理して食卓に並ぶ様子は馴染みがある風景と言えます。

そんな中で私がイタドリの美味しさに魅せられたのは、まだ小学校に上がる前でした。

その頃、近所に住むおばさんが「イタドリ炊き過ぎたからもらってくれない?」と私の家の玄関のドアをノックしてくれたのがイタドリ料理との最初の出会いでした。

それ以来、近所のおばさんや家族みんなでイタドリを山に採りに行って調理して食卓に上がることが春の訪れを感じる風習となりました。

家の近所の土手や山道を軽く歩くだけで当たり前に目に入るほど、そこら中に生えているので幼い私でも気軽に採ることができ、そのイタドリを美味しく食べる調理手順や長期保存する方法を伝授してくれたのも近所のおばさんでした。

イタドリはクエン酸や酢酸などの有機酸を多く含むため、美味しく調理して食べるためにはアク抜きを始めとした下拵えがとても大事です。

教わり始めの頃は、下茹でをする工程で茹でる時間が長過ぎたせいか、熱を通すうちに溶けて、煮崩れさせてしまうような失敗もありました。

その失敗を何とかしようと、近所のおばさんから事ある毎にアドバイスをもらってコツを学び、納得できる出来や味に仕上がるようになりました。

その頃とは別の地域に住んでいる今でも暖かい春になると昔を思い出して無性に食べたくなり、その度に作り続けている故郷の懐かしい味です。

では、イタドリは初春の時期しか食べられないのかと言うと、しっかりと保存さえすれば季節を選ばす食べることができます。

採ったばかりのイタドリはすぐ下拵えしてそのまま調理することが多いですが、たくさん採ったイタドリを塩漬けや冷凍するなどしてしっかり保存していれば、茎のある植物特有のシャキシャキとした食感やイタドリの香りを楽しみたいときにいつでも楽しむことができるようになります。

まず、イタドリ特有の酸味を取り除くため、調理する前にはアク抜きが必須です。

塩もみをしたり、半日~一晩ほど水に浸したり、湯通しをしたりなどいくつか方法があります。

今回は比較的早くアク抜きでき、色よく仕上がる「湯通し」について紹介します。

●湯通しの手順

1)根元から皮を剥きます。

予め熱湯をかけると剥きやすくなります。また、この時に丁寧に剥かないと、皮が厚く剥けたり、筋が残ってしまうことがあるので気を付けましょう。

2)鍋の大きさや料理方法に合わせてカットします。

シャキシャキした特有の食感を残すために3~4cm程度の長さに切るのがおすすめです。

3)沸騰し始めた70~75℃度程度の湯にカットしたイタドリを入れ、10~30秒程度湯通しして氷水に取ります。ポイントとして、予め下茹でを行うことでアクを抜き、色鮮やかに仕上げることができます。

あまり加熱しすぎると、歯ごたえのあるシャキシャキとした特有の食感が弱くなるので注意が必要です。

4)水を張ったボウルに下茹でしたイタドリを入れます。

最初の内はアクのせいで水が濁るのでその度に水を変えながら、半日~一晩程度、お好みの酸味になるまで水にさらします。アクをしっかり抜くことが美味しくいただくためのコツになります。
下拵えの方法の紹介の次は、1年間分を採取して食べ繋ぐ保存方法について紹介します。

今から紹介するのは、「塩漬け保存」と言われる方法で保存期間は約半年~1年程度になります。

●塩漬け保存の手順

1)漬物など使用できる保存容器に皮を剥いて切ったイタドリを敷き詰め、全体を覆うように塩を振ります。

2)中蓋を落とし、漬物石や水を入れたペットボトルなどで重しをします。

3)冷暗所(直射日光が当たらない年間を通して温度の変化が少ない場所)で、3カ月程度寝かせます。

酸味が抜けたら食べ頃となります。

使用する時は水に浸け、適度に水を替えて塩分を抜いてから調理に使用します。

また、保存期間が1年程度持つ「冷凍保存」の方法を紹介します。

●冷凍保存の手順

1)予め皮を剥いたイタドリに重量の5~10%の量の塩を振ってしんなりさせます。

2)密封できる容器や保存できる袋のサイズに合わせた長さに切り分けてから軽く絞ります。

3)用意した容器や袋に入れてしっかり密封し、冷凍保存します。

その後、使用する時には水に浸けて解凍を行い、適度に水を替え、塩気とアクを抜いてから調理に使用します。

 最後に、油と相性の良いイタドリを使用した高知県の定番のレシピである「油炒め」を紹介します。

●イタドリの定番レシピ「油炒め」

1)アク抜きしたイタドリ300g程度を大さじ1のごま油でさっと炒めます。

2)砂糖を大さじ1、醤油を大さじ2、かつお節をたっぷり加えてさらに炒めて味を馴染ませてお好みで白ゴマを振って、完成です。

イタドリを事前に下茹でしてあるので、手早く炒めるのが美味しく作るコツになります。

普段食べるような畑の野菜にはないイタドリが持つ特有の風味とシャキシャキした食感、僅かに残る酸味に日本人が特に好むかつお節の旨味と白ゴマの風味が合わさって、とても食欲をそそる高知県民が春になると無性に食べたくなるソウルフードです。

いかがだったでしょうか?今回は、2023年初春にNHKからスタートする朝の連ドラ『らんまん』の主人公のモデルになった牧野氏の研究成果の一つである『野草』・『雑草』・『薬草』の紹介とその違い、高知県で採取することのできる植物と牧野氏と野草との関係性などを紹介させていただきました。

こうしてまとめてみると、同じ植物でも全然違うものなのだと思われたのではないでしょうか?

それ以外にも、日本植物学の父・牧野氏と植物との関係性を記した数々の著書やエピソード、その牧野氏の育った高知県の植物情報などをお届けできたのではないかと思います。

このような牧野氏に纏わる情報を事前に知った上で朝ドラ『らんまん』を見ることができると普段とはまた違った目線でドラマがより楽しむ事ができるのではないでしょうか?