【きっかけ】下心満載から始まった柑橘道

私はみかんが大好きで、1箱10Kgのみかんを1週間ほどで平らげてしまいます。
冬になったら手が黄色になってくるので「今年もまた発病した」と周りには見られている程みかんラブな私です。

澤村さんとの出会い

そんなみかんラブの私が、柑橘農家の澤村さんとご縁ができたのは今年(2022年)の2月くらいでした。
こうちっちのECサイト「こうちっちのお店」は高知の生産品を掲載しています。
今もそうなのですが、私達こうちっちは、掲載商品を充実させるために県内の農家さんを回って取材させて頂いています。
お話を聞かせていただいて、実際に商品を購入して、試食の上で、美味しい生産品だけをサイトに掲載しています。

澤村さんはこうちっちメンバーのロッキーから紹介してもらいました。
2022年2月のある日に、澤村さんを引き合わせてくれたのですが、以前、澤村さんの農園にはお邪魔させていただいていました。

実はロッキーには前々から「美味しいみかん農家さんを紹介して!!」とお願いしていたんですよ。
みかん農家さんと仲良くなれば、みかんを取引できるので、原価で入手できます。
原価で入手できたら、例年よりも更にたくさんみかんをいただくことができるからです。
しかも「美味しいみかん農家さん」のみかんならば、間違いありません。
こんな下心満載で、ロッキーに「みかん農家さんを紹介して!」とお願いしていたのでした。

澤村さんの在り方

澤村さんは柑橘の出荷の現状を説明されました。
「糖度計で13度以上という広告があるけど、みかんAは14度、みかんBは17度、みかんCが20度だとします。現在は、13度以上と表示されるのが普通ですが、細かな数字が表示されていません」と言われました。
本音を言うと、全体的な話を聞くよりもどのような「こだわり」を持って生産しているのかの方に関心がありました。
ECサイトに掲載するには全体的な話よりも個別な話の方が大切だからです。

しかし、この全体的なお話を教えて頂いたことで、消費者に喜んで頂く指標みたいなものができたように思います。
これまでは、味も大事ですが、高単価の商品は見た目が大事と思っていました。
生産品だから味のばらつきはどうしても出てきます。みかんを食べていて、美味しいみかんもあれば酸っぱいみかんもあるのは普通でした。
生産品や産地によっては全体的に甘いみかんでも、中には複数個、酸っぱいみかんが入っていても「ハズレを引いた」で終わっていました。
農産品は自然のものだから当然偏りが有ってしかるべきだというのがこれまでの理屈でした。
そう言ってごまかしていたと思います。

澤村さんの独特な選果理論

澤村さんはこのような選果(果実をクラスに応じて選別すること)とは違う選果をしたいと言われました。
柑橘1つ1つに光センサーを照射して、1つ1つの柑橘の糖度と酸度を計ります。糖度が高くても酸度が高いと甘さが消えて酸っぱい果実になります。
だから、糖度とともに糖酸比(糖度/酸度=甘味比ともいう)で選別して、一番美味しいものを消費者に提供したいと言われていました。
美味しい糖酸比の中で、糖度が23度以上、20度以上、17度以上、14度以上とランクに分けたら更に消費者にハズレのない美味しい果物を提供できると言われています。

澤村さんの話を聞いてて、澤村さんは果物を工業製品化しようとしている気がしました。
工業製品はすべて成分は均一です。一方、農業生産品はハズレがあって当たり前です。
もちろん、千疋屋で販売しているような高級な果物は外れがありません。
千疋屋までいかなくても、もうちょっとリーズナブルでしかもハズレのない、そのような提供をしたいと言われていました。

ところで、JAの選果場には大量の柑橘を瞬時に光センサーで測定して、決められた範囲の選果ができる装置があるそうです。
しかし、その選果場は糖度13度以上ということは選別できても、それ以上のクラス分けの選果をしないそうです。
JAを構成する農家さんには糖度が高いの農家さんもいれば、どんなに頑張っても土地の条件で糖度が低い農園さんもあります。
そうなると、すべての農家さんに納得頂くためにはアンダーに基準を合わせざるを得なくなるのは致し方がないことだと思います。

秘密兵器の光センサー選果機

いま、澤村さんといかにして光センサーの選果機を導入しようかとプランを練っている最中です。
選果機は最低モデルが550万円(大きさなどの拡張性によって1000万円以上する機械もあります)ほどするのでなかなか、おいそれと個人が導入できないシロモノです。
しかし、そのシロモノ=光センサー選果機を導入したらいろんな応用ができます。


こちらの機械は 三井金属計測機工株式会社 製(下線クリックで会社ホームページ)です。

これを導入すると、こんな事ができます。
例えば、畑ごとに選果すると、果実の情報が1つずつ記録できるので、いろいろな栽培実験ができます。
Aという畑には水分を極力絞るとか、Bという畑には特殊なミネラルを撒くとか、各種の条件を設定して、その結果(収穫した果実)を光センサーで確認することができます。
こんな話をしていると、なかなか楽しいものです。
どうやったらお客さんをビックリさせれるか、考えるだけでも楽しいものです。

さらに、この機械を導入することで、腐敗した果実を消費者に出さなくてすみます。
見た目は良くても中身が腐っている果実は、収穫から時間が経つほどに割合が大きくなってきます。
一定の期間が過ぎたら、中身が良くても廃棄せざるを得なくなってしまうのです。
しかし、この選別機にかけることで、消費者に届ける前に全量チェックでき廃棄を少なくすることができます。
今流行のSDGsにも通じる取り組みなんですよ。

上記のことで、この機械を導入しようとプランを練っています。

ちなみに、澤村さんはポンカン、小夏、温州みかんを栽培されています。
農園の名前は「土佐の高知のくだもの畑」と言います。

【小夏道を極めたい】

ここからは現在販売中の小夏について書きたいと思います。

小夏の特徴

小夏は5月から6月にかけて販売されているほんのり甘い、さっぱりとした柑橘です。どちらかというと柚子に近い品種らしいです。
だから温州みかんに比べると酸味があり、温州みかんを子供の味と例えると、小夏は大人の味といえる柑橘です。
爽やかな香りとスッキリした食味が魅力のフルーツです。

高知県では「小夏」と言いますが、愛媛県では「ニューサマーオレンジ」と言い、宮崎県では「日向夏」と呼ばれているそうです。
小夏は品種がたくさんあるらしく、厳密に言ったら日向夏と高知県の小夏は別物らしいですが、ここでは同じということに致します。

冬の寒い時はこたつに入って甘い温州みかんを食べると「美味しい」と感じますが、酸っぱいと「スッパ! 美味しくない」となりませんか?
ところが夏の暑い時(ちょっと疲れたとき)などはいかがでしょうか?甘いものを摂るよりも酸味のあるものを摂りたいと思いませんか?
つまり、今の季節は小夏の美味しい時期なのです。

私は甘いみかんが大好きなので、酸っぱいのは苦手な方ですが、この小夏は酸味と甘味のバランスが取れていて、なかなか美味しいです。

【小夏に含まれる栄養素とその働き】
小夏にはビタミンCが豊富に含まれています。さらにクエン酸も含まれているので、疲労回復に効果ありです。
小夏の実の部分で房を包んでいる薄皮を「じょうのう」と言うらしいのですが、こちらにはペクチンを含んでいるので整腸作用に効果があるそうです。

小夏の成分分析がネットに記載していたので、かいつまんで掲載すると
ビタミンCが群を抜いて多く含有しています。さらにパントテン酸と葉酸、ビタミンB1,6が含まれているようです。
ミネラルで言えばカリウムが多く含まれています。

【小夏の食べ方】
りんごの皮をむくような向き方で黄色い皮を薄く向いて下さい。白い皮は程よい甘みがあるので、白い皮と一緒にジューシーな果肉を頂いて下さい。

【測定の鬼】

現在、購入した小夏を食べる前に、全部、糖度計で測定した後に頂いています。
本来は白い皮を残してカットして食べるのですが、皆さんに正確な情報を提供するために、小夏ジュースにして頂いています。

レモン絞り器を使って、小夏の果汁を絞り、その汁を糖度計にかけて糖度を測って、写真に残しています。
全量は20トンほどあるそうですが、その中の一部をサンプルとして計測することで全体の傾向をつかむことができると思います。
統計調査としてのサンプリングという方法ですが、全体の性質や傾向を予測する方法です。
本当は非破壊の光センサーで1つ1つを計測して、美味しいものだけを選別してお渡しできたら良いのですが、
それが難しいので、せめて全体の傾向をつかんでいただいて、それなら食べてみたいという方に食べていただきたいと思っています。

【測定方法】
2022年5月17日現在、これまで48個の小夏を半分にして、それをレモン絞り器にかけて、調査しています。
糖度は11~12というのが全体の2/3を占めています。検査した全量が48サンプルなので、全体を反映する十分な数量かは少し疑問もありますが、極力正確な情報を消費者に提供したいと思っています。
糖度の幅は10以上16未満という数字が出ています。
糖度11以上は全体の85%です。
糖度が11以上と言うのは、だいたい小夏にしては甘いというクラスなので10個の内1個半がちょっと酸っぱい小夏となります。

ちなみに、小夏は他の果物と同様に、食べる部位によって甘かったり、酸っぱかったりします。
ジュースにしたのは食べる部位によって糖度が違うので、小夏半分をジュースにして撹拌したら部位による偏りをなくして、平均的な糖度が測定できると思ったからです。

【試行錯誤の末に編み出した『とっておき』の小夏の食べ方】

少し前に【小夏の食べ方】を記載していますが、本当はこちらの食べ方を推奨します。
少し贅沢な食べ方ですが、きっと喜んでいただけるはずです。
まず、小夏の糖度がどのように分布しているかをイメージ図を使ってご説明します。
なお、この図はイメージ図であり、詳細な分析を行ってこのような直線的な分布になったわけではないことを最初にお断りしておきます。

このように小夏を半分に切ると果実の中心から外側に向かって糖度が変化してます。
果実の外側に行くほど、糖度が上がっているのが見えると思います。
つまり、真ん中を除いて切れば糖度が高い小夏を頂くことができるということです。
それで、次のようなカッティングをおすすめします。

左図 ①このように中心から少し外して中心に向かって刃物を入れます。
上からの図と横からの図を掲載していますが、横からの図を参考に刃物を入れて下さい。
右図 ②90度回して同じ要領でカッティングします。

同じ要領で、90度ずつ回しながら4回カッティングすると中心を除いて周りを切り取ることができます。

中心部を除いた小夏をお召し上がり下さい。

【カッティングの様子】

左図 りんごの皮をむく要領でむきます。包丁さばきが上手でなくて、だいぶ白い皮を削ってしまいました。もったいないです。
右図 2つに割った状態です。赤線のようにカットします。
中心から外れた所から中心に向かって斜めに切り込みます。イラストで言えば①の切り分けに該当します。

左図 写真のように斜めにナイフを入れます。
右図 切り分けた小夏を食べやすいように半分に切ります。

左図 中心を残して更に切り分けていきます。イラストでは②の切り分けに該当します。
右図 中心を残して切り分けてしまいます。中心部は酸っぱいですので、クエン酸やビタミンCが大量に含有していることが予想されます。

このやり方でカットした小夏は、残った中心部と比べて、外側の部分が平均2度くらい糖度が高いです。
糖度計で測定したらそのようなデータが出てきました。

スーパーで購入した小夏がいまいち美味しくなかったら、こうやってカッティングしてみて下さい。
きっと美味しさが変わると思います。

中心部の残った小夏の処理ですが、砂糖をまぶして食べるもよし、凍らせておいてもっと暑くなって疲れた時に冷たいまま頂くもよし、です。
酸っぱいということはビタミンやクエン酸が大量に含まれていることでしょうから、疲労回復に効果があるかと思います。

2022年5月8日 サトリアーニ(続く)