高知県のとさでん交通は11月から、高知市を起点とする路線バスと路面電車を休日祭日、無料とするサービスを始めた。コロナ対策の交付金を使う高知市のユニークなサービス。

1月までの期間限定だが、たぶん公共交通機関を無料化するのは全国で初めてだろうと思う。

3日の文化の日、そして7日の日曜日しか見ていないが、ふだん閑散としている休日の市内のバス、路面電車は立ち席が出るほど混み合った。

また「空気を運んでいる」と揶揄された過疎地のバスも多くの乗客でにぎわった。

無料サービスの人気がどこまで続くかどうか分からないが、街中で人があふれているという状況ではない。たぶん、ふだんは車で移動している市民が多く利用しているからだろう。

公共交通機関を利用すればまず環境にいい。駐車場代が要らない。ビールを飲んでも安心して家路につける。

まだまだ「無料サービス」を知らない市民も少なくなく、周知が広がれば利用者は今後ますます増えていくものだと思う。

地域の公共交通機関は利用者減と運賃アップの悪循環で経営難に直面しているところがほとんどだ。

平日も含めてずっと「無料」というわけにはいかないが、この「無料サービス」はこれまでバスにも路線電車にも縁のなかった市民にその存在を知らしめる役割を果たすことは確実だ。

そういった人たちに公共交通機関に戻る可能性も秘めている。

かつて長崎の市電や西鉄バスが100円というワンコインサービスを続けて市民に人気を博していたことを思い出させる。

伴 武澄