高知の伝統行事輪抜けさま

両親の郷里、高知に住み始めて、3年程になりますが、知人に誘われ、初めて今年、知ったのが“輪抜けさま”の行事です。

正確には、「夏越(なごし)の祓(はらい)」、「水無月(みなづき)の祓」ともいわれ、藩政時代から続いている伝統行事だそうで、緑の茅(ちがや)の輪っかを抜けて、けがれを祓います。

緑の生気をもらって暑い夏を健やかにと祈る行事のようです。

(ちがや)の輪は、神社の氏子さんを中心に作られるところが殆どとのこと。

茅をきちきちっとと細く巻いてあるところやざっくりと巻いてあるところなど神社によっていろいろあり、大きなところで、直径4.85メートルもの大きな緑の茅の輪のところもあるそうです。

神社に来社した人は、「8の字」を書くように無病息災を祈りながら茅の輪を通り抜けます。

「輪抜けさま」がおわれば土佐路は夏本番に突入する時期のようですが、今年はなぜか、梅雨に突入し、雨の中のお祭りになりました。

高知市から、東へ約20キロ土佐龍馬空港の東側から土佐湾に流れ込む、一級河川、物部川の川沿いに広がる、香美市の中心の土佐山田町に住んでいる私の所から、約10キロ遡る、香北町に、6月30日に開催された、「輪抜けさま」の会場、「大川上美良布神社」があります。


↑ この写真は違う日に撮った大川上美良布神社

伝統ある、立派な神社ですが、この地域も人口減少、高齢化が進んでいて、年間を通しての多くの伝統行事も、それを継続するのが大変のようです。

今回、誘われたのも、ぎりぎりの戦力で祭りを維持している状況で、神社の関係者から、協力要請があったのが現状です。

2週間ほど前の打ち合わせ会に参加したのですが、参加者は高齢者が多く、まとまりのない打ち合わせでした。

およその状況を推移しながら、私からは、二つ程提案させてもらいました。

一つは、最近、アメリカに40年余り生活していた、東京・浅草生まれのK氏による、子供たちに英語を親しんでもらう「英語で遊ぼう」のイベントで、今一つは、七八店の屋台が計画されていたので、鉄板を持ち込んで、「焼きそば」を作ることです。

二の案は承認され取り組むことになりました。

開催当日は、前日からかなりの雨降りの天候が予測されましたが、雨天決行ということで準備して、早めに境内へ向かいました。

茅の立派な輪とお客様用のテントはすでに用意されていましたが、かなり強い雨が降っていたために、全体のレイアウトの変更を余儀なくされ、五・六名の年配者による実行委員は境内で雨を見ながら考え倦んでいました。

しばらく境内の雰囲気を味わっていた私は、ご了解をえて、自分の屋台の場所を決めて、鉄板等を降し準備を開始しました。

最初は心配しましたが、徐々に参加者が増えてきて、昼過ぎには、お客様を迎える準備も出来てきました。

午後8時ごろまで終始、降り続く雨の中でしたが、祭りは予定通り進行し、多くの方が参加してくれました。

「英語で遊ぼう」のイベントも子供たちの歓声の中で、二度ほど開催され、「焼きそば」もほぼ完売することができました。

地元に長く根付く、伝統行事は地域にはかけがえのないもので、主催者側、お客様を問わず皆で継続して盛り上げていかなければと強く感じました。